大阪大学FFP10周年記念シンポジウム「新しい時代の博士人材をどう育成するか? ――プレFDを中心に――」

  • 2024年02月22日
  • 13時30分〜17時40分
  • 大阪大学中之島センター7階セミナー室7A・7B(大阪府大阪市北区中之島4丁目3-53)/オンライン(Zoom)によるリアルタイム配信(申込後メールにてZoomのURLをお知らせいたします)

概要

大阪大学のFFP(Future Faculty Program, 未来の大学教員養成プログラム)は、
本学の大学院生を対象とし、教育学の理論に基づいた実践的な学習カリキュラムを通して、
大学教員として教えるための基本的な知識や技術を提供することを目的としています。
これまで、大学教員志望の大学院生から、
初等・中等教育機関、企業、研究所での教育や人材育成・能力開発に関心がある大学院生まで、
幅広い層が受講し、研究科を越えた多様で個性豊かなコミュニティが形成されてきました。

そこで、大阪大学FFPの2014年の開始から10年という節目を迎えるにあたり、
これまでの歩みを振り返りつつ、科研費の最終年度としての成果報告を行い、
現在および未来のプレFDについて展望するシンポジウムを開催することになりました。

本シンポジウムはこれまでFFPの運営に携わってきた教員だけでなく、
修了生、さらには他大学の専門家も招き、多様な視点からこれまでの成果を総括し、
今後の高等教育(プレFD/FD)の方向性について議論します。
大阪大学の関係者だけでなく、他の教育機関の皆様にも
ご関心をお持ちいただけるプログラムとなっております。
お忙しい中ではございますが、皆様のご参加を心よりお待ちしております。

プログラム

13:00-13:30 受付

13:30-13:45 オープニング
  「開会挨拶」田中敏宏理事・副学長(大阪大学)
  「祝辞」池田貴城(文部科学省)

13:45-14:15 プレFDに関わる全国調査
  「プレFDの実施をめぐる現状と課題」岡田有司(東京都立大学)
  「大学院生のプレFDに対するニーズと教育能力の自己認識」根岸千悠(京都外国語大学)

14:15-15:00 プレFDの実践の成果と模索
  「ホリスティック・アカデミック・ディベロップメントを目指す大阪大学未来の大学教員養成プログラム」佐藤浩章(大阪大学)
  「九州大学におけるTF制度連動型PFFPの実践と成果」長沼祥太郎(九州大学)
  「神戸大学における他大学インターンシップのプレFD」大山牧子(神戸大学)

15:15-16:00 プログラム修了生によるSoTLの取組
  「FFP修了生の活動とSoTLを用いた授業改善の試み-英語による国際政治系の共通教育科目を題材に」佐々木葉月(金沢大)
  「数学における作問課題を題材としたSoTL実践記」中屋佑紀(北海道大)
  「看護教育におけるコンセプトマップを用いた効果的な教育プログラムの構築」大串晃弘(四国大)

16:00-17:30 パネルディスカッション「これからのプレFDをどう創るか?」
  司会:佐藤浩章
  登壇者:家島明彦(大阪大学)、萩原広道(大阪大学)、栗田佳代子(東京大学)、水戸晶子(文部科学省)

17:30-17:40 クロージング
  「閉会挨拶」楠本真二(大阪大学)

17:50-20:00 情報交換会(事前申し込み必要)

登壇者

田中 敏宏(大阪大学 理事・副学長)
水戸 晶子(文部科学省 高等教育局 高等教育企画課 高等教育政策室 大学院係長) 
岡田 有司(東京都立大学 大学教育センター 准教授)
根岸 千悠(京都外国語大学 共通教育機構 講師)
長沼 祥太郎(九州大学 未来人材育成機構 講師)
大山 牧子(神戸大学 大学教育推進機構 大学教育研究センター 准教授)
佐々木 葉月(金沢大学 国際基幹教育院 講師)
中屋 佑紀(北海道大学 大学院 工学研究院 助教)
大串 晃弘(四国大学 看護学部 講師)
家島 明彦(大阪大学 キャリアセンター 准教授)
萩原 広道(大阪大学 大学院 人間科学研究科 助教)
栗田 佳代子(東京大学 大学総合教育研究センター 副センター長・教授)

楠本 真二(大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部長/情報科学研究科 教授)
佐藤 浩章(大阪大学 国際共創大学院学位プログラム推進機構 学位プログラム企画室 教授)
村上 正行(大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部 教授)
浦田 悠(大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部 准教授)
長岡 徹郎(大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部 助教)
金 賢眞(大阪大学 SLiCSセンター教学支援部 特任助教)

参加費

無料
*
情報交換会の費用は実費をご負担いただきます。

定員・対象

対面 90名(先着順)/オンライン 制限なし

会場までのアクセス

中之島センターアクセス:https://www.onc.osaka-u.ac.jp/access/

主催・共催

    主催:大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部
    共催:大阪大学 スチューデント・ライフサイクルサポートセンター、大阪大学 国際共創大学院学位プログラム推進機構
     このシンポジウムは科学研究費補助金 基盤研究(B)「教学マネジメントの基盤となる大学院生向けプレFDモデルの構築に関する研究」(研究代表者:佐藤浩章)の支援を受けたものです。

締切

2024年2月12日(月)まで
*定員に達し次第、締切らせて頂きます。

お問合せ

大阪大学全学教育推進機構教育学習支援部
E-mail: tlsc<AT>celas.osaka-u.ac.jp

ポスター

実施報告

2024年2月22日(木)に、大阪大学中之島センターにて、「未来の大学教員養成プログラム 10周年記念シンポジウム 新しい時代の博士人材をどう育成するか ——プレFDを中心に——」が開催されました。参加されたみなさま、およびご登壇された先生方に、深く御礼申し上げます。

本シンポジウムは、大阪大学における未来の大学教員養成プログラム(Future Faculty Program, 通称FFP)の2014年の開始から10年という節目を迎えるにあたり、これまでの歩みを振り返りつつ、現在および未来のプレFDについて展望することを目的として開催されました。これまでFFPの運営に携わってきた教員だけでなく、修了生、さらには他大学の専門家もお招きして多様な視点からこれまでの成果を総括し、今後の高等教育(プレFD/FD)の方向性について議論しました。延べ104名(対面48名、オンライン56名)もの方々にご参加いただきました。
シンポジウムの前半では、プレFDの現状と課題やFFPの成果を検証することを目的とした「プレFDに関わる全国調査」、「プレFDの実践の成果と模索」、「プログラム修了生によるSoTLの取組」という3つのテーマについて、様々な発表がなされました。後半では、前半の発表を踏まえ、これからのプレFDを展望するパネルディスカッション「これからのプレFDをどう創るか?」を実施しました。今回のプログラムは、プレFDの現場における実践的な知見と理論的な洞察を組み合わせた内容となっており、大学教育の質を高めるための新たな方向性を示唆することを目指しています。以下に各セッションの概要について簡単に紹介します。

本シンポジウムは、大阪大学副学長・理事の田中敏宏先生による開会挨拶と、文部科学省高等教育局局長の池田貴城様(代読:水戸様)からの祝辞をいただき、始まりました。
最初のセッション「プレFDに関わる全国調査」では、岡田有司先生(東京都立大学)が「プレFDの実施をめぐる現状と課題」、根岸千悠先生(京都外国語大学)が「大学院生のプレFDに対するニーズと教育能力の自己認識」について発表されました。
岡田先生は、日本国内大学を対象としたプレFDの実施状況に関する調査結果に基づきながら、プレFDの現状について考察し、人的リソースの拡充やニーズの掘り起こしなど、プレFDのさらなる展開に向けた課題を提示されました。根岸先生は、プレFD参加者と非参加者の教育能力の自己評価の差異や、大学院生のプレFDへのニーズに関する調査結果を分析し、プレFDが教育能力向上に肯定的な影響を与える可能性を示唆されました。両先生のご発表は、プレFDの現状と課題を多角的に明らかにしてくださいました。

続いてのセッション「プレFDの実践の成果と模索」では、佐藤浩章先生(大阪大学)が「ホリスティック・アカデミック・ディベロップメントを目指す大阪大学未来の大学教員養成プログラム」、長沼祥太郎先生(九州大学)が「九州大学におけるTF制度連動型PFFPの実践と成果」、大山牧子先生(神戸大学)が「神戸大学における他大学インターンシップのプレFD」について発表されました。
佐藤先生は、FFPの概要や成果、および今後の課題について考察したうえで、プレFDの定義の拡張と大学院教養としてプレFDを位置づけるという、課題解決に向けた具体的な提言をなされました。長沼先生は、TF制度と連動した九州大学におけるPFFPの概要や実施内容、具体的な成果についてご報告されました。大山先生は、プレFDと大学インターンシップを接続させながら、大学教員の仕事やキャリアの作り方について学ぶことを特徴とする、神戸大学におけるプレFDの実践についてご発表されました。各先生方のご発表は、プレFDの実践における多様な取り組みと成果を具体的に示すとともに、今後の課題や展望を提示する、大変示唆に富む内容でした。

そして、セッション「プログラム修了生によるSoTLの取組」では、プログラムの修了生の先生方3名による発表が行われました。佐々木葉月先生(金沢大学)が「FFP修了生の活動とSoTLを用いた授業改善の試み-英語による国際政治系の共通教育科目を題材に」、中屋佑紀先生(北海道大学)が「数学における作問課題を題材としたSoTL実践記」、大串晃弘先生(四国大学)が「看護教育におけるコンセプトマップを用いた効果的な教育プログラムの構築」について発表されました。
佐々木先生は、FFP修了生による大阪大学若手FD研究会の活動を紹介するとともに、SoTLを用いた英語教育におけるご自身の授業改善の取組についてご発表されました。中屋先生は、数学の基礎授業で学生に作問をさせる実践を通じて、学生の数学的思考力と問題解決能力の向上を目指すご自身の教育実践のSoTL化についてご発表されました。大串先生は、看護教育におけるコンセプトマップを使用した教育方法の研究とその効果検証についてご発表されました。大串先生は、FFPでSoTLを知ったことをきっかけに、教育に関する業績が自身のキャリアアップを後押し、看護教育がご自身の専門分野の一つにまでなったそうです。各先生方のご発表は、FFP修了生によるSoTLの多様な実践と成果だけでなく、SoTLが大学教員自身のキャリア形成にも貢献していることも示していました。

最後のパネルディスカッション「これからのプレFDをどう創るか?」では、佐藤浩章先生の司会進行のもと、栗田佳代子先生(東京大学)、水戸晶子氏(文部科学省)、家島明彦先生(大阪大学)、萩原広道先生(大阪大学)がパネリストとして登壇され、活発な意見交換がなされました。議論の焦点となったのは、プレFDの理解が進む中で顕在化してきた制度化に関する問題です。博士課程のキャリアにおいて大学教育を専門職として資格化していく必要性が議論される一方において、そのような制度化がFD制度そのものの硬直化を招きかねないという課題などが指摘されました。また、高等教育におけるプレFDの理解を高めていくためにも、FFP修了生によるコミュニティのネットワークを広げ、維持していく活動を、今後も続けていく重要性が再認識されました。各パネリストからは、プレFDのさらなる発展に向けた具体的な提言が相次ぎ、会場からも多くの質問が寄せられました。このような活発な議論を通して、これからのプレFDが目指すべき方向性と課題を、全体で共有できたように思います。

以上のように、本シンポジウムでは、新しい時代の博士人材の育成に向けたプレFDの現状や課題、そしてFFPの活動成果を多角的に検討することができました。10年にわたって続けられてきた本学におけるFFPの活動は、FFP修了生によるネットワークの形成や、授業実践のSoTL化など、様々な形で成果を上げてきました。一方において、高等教育を取り巻く環境の変化に伴い、今後のプレFDが向き合うべき様々な課題も見えてきました。大阪大学のFFPも、これらの課題を見据えながら、新たな段階へと踏み出すために変わっていく必要があるでしょう。今回のシンポジウムで得た成果を、今後のプレFD活動へと活かしていきたいと思います。

最後に、このシンポジウムが、教育の未来を考え、質の高い高等教育を目指す全ての関係者にとって有意義な機会となったことを、切に願っております。

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